■志望理由書【記載実例のご紹介】



志望理由書には「具体的に何を書いた」のか?

これは、通信で学んでいて一番知りたいのになかなか情報が得にくかったことです。

私が提出した時の内容を公開いたします。

何かご参考になることが少しでもあれば幸いです。

なお、実例として掲載した文章は、読みやすさを重視して句点(。)ごとに改行して行間を空けて掲載しております。実際に提出した紙面では、句点の後はそのまま続けて次の文章を書いています。




なぜ慶應を選んだか 180字 

【記載ポイントとしたこと】


①理由を複数書いた
②第一理由・・・大学の環境
③第二理由・・・通信を選んだ理由。家庭環境等。
③第三理由・・・説明会に行った時に感じたこと。

【実際の記載文章】


 理由は主に三つある。

第一に貴大学が法律分野の学習環境が大変充実していることである。

第二に通信教育という学習手段を選んだのは個人的な環境による。資金的な面、また仕事と家庭を抱えていることによる通学時間の捻出の難しさを考慮してのことである。 

第三に一月末に参加した説明会で担当の方々の相談者への親身な対応に心を動かされたことである。


大学で何を学ぼうとしているのか、①過去の学習経験、②将来の展望にふれながら志望した学部(類)に関連させて書く (720字)  

【記載ポイントとしたこと】


①前半 どんな分野に関心があって何を学びたいのか
②中盤 法律に関心を持ったきっかけとこれまでの

      学習経験および大学で学びたいと考えた理由
③後半 学んだことを将来どう活かしていきたいと考えているか


【実際の記載文章】


 大学では法に対する考え方など基礎を中心に学びたいと考えている。 

法の成り立ちや変革などをはじめとして法が社会でどのような役割を担っているのかについても学びたい。 

知的財産分野に関心があるため民法や民事訴訟法などについては特に知的財産法にかかわりの深い部分を中心に学んでいきたい。

法に興味を持ったのは、十年ほど前に雑誌で弁理士の存在を知ったことがきっかけである。 

新しい技術が世に出るサポートをするという仕事にとても惹かれた。 

この分野の仕事に就くには特許法を中心とした知的財産に関する法律の勉強が不可欠であると知り勉強を始めたが、関係する法律は特別法が多く,一般法ですら全く学んだことのない状態からの出発で理解するのがかなり難しく感じられた。 

そこで法の基礎知識を得るべく法学検定試験を受けるなど一般法に触れながら少しずつ知的財産についても勉強をすすめていたが、最近になって根本的な理解をするのにはもっと法について体系的にしっかりと基礎から学ぶ必要があるのではないかと考えるようになった。 

また特許法などの法律に触れるうち、法律の成立背景など法の世界全般に関する基礎的なことを学んでおきたいと思うようにもなってきた。 

学ぶ方法はいろいろ考えられたが、自己流ですすめるのではなく「大学」という学ぶためのシステムと各分野の知識のプロがいる環境に身をおきじっくりと学ぶことが本当に力のある知識となりうるのではないかと感じた。 

大学で法の基礎を学び、知的財産法に関する理解力を高めたいというのが希望である。 

将来的には知的財産の分野で社会に貢献できる人材になりたいと考えている。





自分の学びたい学問領域に関する書籍を一冊読んで論評する(600字)



論評に使った本は 碧海純一著「法と社会」(中公新書,1967)です。




【記載ポイントとしたこと】


①著者は法についてどう述べているか
②著者の指摘する問題点
③問題点に関する自分の意見。
③本書全体についてまとめとして自分はどう思うか。


【実際の記載文章】 

 法は言語的表現の形態をもった文化の一部という面を持ちながらさまざまな社会目的のための技術として深く社会に浸透し、社会変化や時代により変化を遂げながら存在していると著者は述べている。

さらに法の変革機能について現代の日本などのように西欧型の近代憲法とある程度安定した法秩序を持った国におけるフィードバック機能とその問題に触れている。

ここでいうフィードバック機能とは法の変革が権力者側のみに有利に働いたりするのを制度的に是正しうるようなしくみである。

日本においても三権分立という法的技術として導入されている。

機能を働かせるための条件として、第一に国民一人ひとりがこの機能について理解が必要であること、第二に言論の自由が確保されていること、第三に常に複雑に分岐する世論を流す機構として複数の政党を存在させていることをあげている。

これらを満たすことは簡単とは言えず、満たされない場合の変革の暴走の危険性を問題として指摘している。 

日本において特に第一と第二の条件は満たされているだろうか。

選挙率の低さに代表される国政への関心の低さ、いまだ他と違う意見を述べることを躊躇しがちな国民性を考えるとそうとはいえないのではないか。 

本書は法と社会のかかわりにおいて密接な関係を示しながらこれからの法の歩みについて一般市民が深く関心を持つべきことを示唆していることが意義深い。


まとめ


 あくまで個人的意見ですが、入学時の課題をこうしてふり返ってみると、大学側が確認したいのは、学習意欲や入学時点である程度課題に沿った文章が書けるかといったことではないのかと思っています。
 
 私自身は入学動機などの内容については、入学のためにつじつまを合わせて考えた事柄を文章にしたというわけではなく、基本的には本音で書いています。
 
「貴学で勉強したいんです!」という熱い思いをどう伝えようか、絶対伝えてみせる、とドキドキワクワクしながら書いていたことを思い出します。

 余談ですが、実際、入学前には法とは関係ない分野で仕事をしていましたが、在学中に転職し現在に至るまで、途中途切れながらも志望動機で書いた分野で仕事をさせていただいており、なんとか少しぐらいは記載内容を実現できたのかなと思っています。

 
 あまり形式にとらわれすぎず、ぜひご自身の熱い気持ちを大学に伝えるつもりで書いていただければと思います。きっと伝わります!

ぜひ入学許可を勝ち取ってください。応援しています!