◼シンクロニシティ?


皆様はシンクロニシティを感じる出来事に遭遇したことはありますか?

「シンクロニシティ」とは、心理学等では意味のある偶然の一致を指す概念とされ、スピリチュアルな話でもよく使われている言葉のようです。

私はこういったことには詳しくもないのですが、こんなことが該当するのかな?と思えるような小さな出来事にはいくつか心当たりもあります。

慶應通信に関係する出来事にもありました。

一例で挙げてみるなら入学時。

高校卒業後に行きそこなった「四年制大学」には、人生のどこかで行ければいいかな、とのんびり思っていたのに、ある日突然、「今、大学に行きたい」と居ても立ってもいられないような気持ちになりました。

勢いで調べてみたら、わずか数日後の週末に、複数の通信制大学が合同で行う説明会が開催予定であることが判明。

あまりのタイミングの良さに驚きました。

説明会に参加し、それから後も流れるような感じで入学まで進みました。

これら一連の流れは今思い返しても不思議な感じです。



さて。

この数日の出来事もそんな思い出のひとつとなりそうです。

今日は六本木で開催されていた「ストラディバリウス300年目のキセキ展」に行ってきたのですが、なんだかちょっと不思議な流れで行くことになったイベントでした。

きっかけは2日前。

用事があって出かけたのですが、ついでにたまに立ち寄る大型書店にも足を運びました。最近の頻度は月に1、2回程度です。

音楽関係のコーナーは日ごろはあまり行かないのですが、なんとなくこの日は気になって行ってみました。特に探していた本があったわけでもありません。

平積みになっている本の中で目に留まったのが、中澤宗幸氏の「修復家だけが知るストラディヴァリウスの真価」。

手に取ってパラパラと目を通しました。なんだか面白そうな本です。

私はヴァイオリンの演奏は好きではありますが熱中するほどではありません。

ただ、楽器のストラディヴァリウスは昔からなんとなく気になる存在で、テレビの特集を見たり音楽関係者のエッセイ等はたまに読んだりしていましたので、この本にもとても興味がわきました。

書籍の購入については、最近は実店舗で見た後に自宅でこの書店のオンラインで購入することがほとんどなのですが、なぜかこの日はい実店舗で本を買って帰りたくなり、本書を含めて複数の書籍を購入して持ち帰りました。

次の日。

昼頃にくつろいでいたときに、前日購入した複数の本のことが思い浮かびました。

なんとなく本書を読みたくなりページを開きました。

すると冒頭に「2018年10月に東京においてストラディヴァリウス21挺が一堂に会したが、これはアジア初の規模だった」といった内容のことが記載されています。

そんなすごいイベントがあったんだ、見たかったなぁ・・・と読み進みかけて、ふと違和感が。

文章には「会しました」といった表現をはじめ他にも過去形での記載があります。

この書籍を購入したのは2018年10月中旬の10月13日です。

書籍の発売がいくら早くても、新聞ではあるまいし、原稿が出来たあと印刷や製本などの過程を考えると実際に書店に並ぶまでにかなりの日数がかかるはずです。

例えばこれが10月1日に一日だけのイベントだったとしても、原稿完成から書店発売までここまでのスピードで出せるものなのでしょうか?

ひょっとしてこの年月は誤記なのか?と思いつつ、少し読み進めると同様の数字が他にもあります。

では誤記ではない??

どういうことだろうと奥付を見ると発行日は2018年9月30日。

奥付の発行日が購入した日よりも未来になっているという書籍にはたまに遭遇するのですが、今回のように本文に書かれている内容が発売日より未来になっているというのは、私はそれまで遭遇したことがありませんでした。

考えているとなんだか混乱してきました。

そこで、展覧会の開催日を調べてみることにしたのですが、そもそも日頃は書籍を読んでいてもこんなことまで気になることはないので、なぜ調べる気になったのかも今思うと不思議です。

ネットで調べてみたら出てきたのが「ストラディヴァリウス300年目のキセキ展」のHP。


その開催日を見て驚きました。

開催期間は一週間だけ。

最終日は……明日(つまり今日15日)。

…思わず鳥肌が立ちました。

しかもその日、偶然にも私は予定が何も入っていません。

……行けってこと??  行っていいってこと???



少々興奮気味に準備をして今日は出かけました。

最初に書籍を読んだときは、現実には終わってしまっている過去の貴重なイベントだと思っていたので、まるでタイムスリップして行かせてもらえたかのような気持ちでした。



なんだか不思議な3日間の出来事でした。





せっかくですので展覧会についても少しお話したいと思います。


行ってよかった。

本当に良い思い出となりました。

ヴァイオリンの制作に関する道具の展示、ヴァイオリン制作者の作業実演、ホールなど空間別にデジタルで再現した音をヘッドホンで聞くことができるコーナーなど、ストラディヴァリウスの展示だけでなく、とても趣向をこらした企画となっていて飽きませんでした。

展示されていたストラディヴァリウスは本当に美しいものでした。

どれもとても個性があります。

ギターやチェロもありました。


12時と15時からそれぞれ約45分間のミニコンサートがあり、どちらも聴いてきました。

会場は展示室のうちやや広めの部屋。

ドアのある仕切られた空間ではなく、あくまでも前後に続く展示室の一室内にさりげなく作られたコーナーといった雰囲気です。

一角にピアノが置いてあり、その周りに20席ぐらいはパイプ椅子が並べられていました。

部屋の後方には展示品が並べられています。

各回とも一時間ぐらい前には人がすでに数十人ぐらい集まっていて、コンサートが始まる頃には、部屋は人でいっぱいで入りきれないほどでした。
200人ぐらいはいたでしょうか?もっとかな?

12時の回はヴァイオリン2挺を1人の奏者が一台ずつ交互に弾きました。

弾いたのは同じ奏者なのに、二つのヴァイオリンの奏でる音はそれぞれ全く違いました。

展示されていたすべてのヴァイオリンの音も聴いてみたくなりました。

15時からはチェロです。

ストラディヴァリウス作品にチェロがあるのはこの展覧会で初めて知りました。


どの演奏も、楽器の素晴らしさだけでなく演奏者の心が伝わってくる深く美しいものでした。

それにしても…。

使用楽器はどれもあの有名なストラディヴァリウス。

演奏者も素晴らしい方です。

それがわずか数メートル先で生演奏です。

普通のコンサートではちょっと考えられません。

これだけの贅沢な空間を堪能できることになるとは思いもよりませんでした。



この企画、主催者の話では5年がかりで実現したものだそうです。

関係者の皆様、素晴らしい企画を本当にありがとうございました。



書籍「修復家だけが知るストラディヴァリウスの真価」にいただいたご縁に感謝します。

本記事の趣旨上、日付の話ばかり強調することになってしまったのですが、本書はストラディヴァリウスが高い評価を受け続ける理由をヴァイオリンの歴史やストラディヴァリウスにまつわる様々なエピソードを通じて述べています。

カラー写真も多数掲載されています。

著者とストラディヴァリウスのつながりに関するエピソードにもご注目。

「偶然」に関する少し不思議な話も入っています。

全体を通して話が面白くて引き込まれました。

巻末にヴァイオリンの作り方が多数のモノクロ写真とともに、丁寧にわかりやすく掲載されているのですが、これまた興味深いです。

よかったらぜひ読んでみてください。

本書には手作りのヴァイオリン教室を主催されているとの記述もあったので、これは面白そう!とさっそく検索してみたのですが、場所は新潟で全10回(←妙高市のHPへ飛びます)。
通うには残念ながらちょっと遠い…。
近くにあったらうれしいです。