■卒業論文作成の流れ




慶應通信の場合、卒業するためには卒業論文の作成が必須です。

作成に際しては決まり事がいくつがありますが、特に注意しなければならないことは、論文の執筆とは別に必要な事務手続きがいくつかあるということです。

ご参考用に記載した最短期間で卒業する場合の各手続き時期を見ていただくとわかるのですが、最初の手続きである「卒業論文指導登録」から「卒業」までは最低でも約一年半程の期間が必要となります。

各時期に適切な手続きをやり損ねてしまうと卒業時期に影響してきます。

サクッと論文を執筆して、ポンと提出すればそれでOK、というわけではないことは心得ていただく必要があります。

慶應通信のHPを確認したところ、公開されている情報レベルでは私の在籍時と大きく変更している事項はなさそうには見えますが(2018年10月現在)、在学中の方は、まだ卒業論文なんて…と思わずに少しでも早く配布されている冊子(塾生案内)の卒業論文説明該当箇所を熟読されておくことを強くお勧めします。

本記事では、卒業論文作成に関する流れを以下に簡単にご説明します。

なお、参考に記載した最短手続き時期(在学所要年数)は、2005年の塾生案内を参考にしていますのでご注意ください。

【卒業論文作成に関する最新情報】

卒業論文・卒業試験について(→リンク先:慶應通信HP)


卒業論文作成に必須の事務手続きステップ


卒業論文作成に関して必ず通過しなければならない事務的なステップは以下の通りです。
上から順に行っていきます。

卒業論文指導登録
卒業論文指導
卒業予定申告
卒業論文提出 

卒業試験


卒業論文に関するオリエンテーション(一般指導)

卒業論文について、どのように取り組んだら良いかといった基本的な事項のガイダンスと質疑応答を行うものです。希望者が参加できるものでしたが、私は残念ながら参加していません。

私の在学当時は、夏期スクーリング中~秋期にかけて全国数都市で行われていました。

下記書籍は大学から卒業論文作成の参考書類として挙げられていて私も読んだのですが、Amazonを見る限りでは現在(2018年10月)は改定版等はないようです。

現在は別の書籍が参考書籍となっているかもしれません。


・「卒業論文の手引」慶應義塾大学出版会



卒業論文指導登録

卒業論文指導を受ける前に、登録手続きを行う必要があります。この手続きが完了しないことには何も始まりません。

手続きは、指定の申し込み用紙に必要事項を記載して大学に提出して行います。

この手続きでは、登録条件を満たしているか否かという形式的な事項が審査されるだけです。論文の内容等は全く関係ありません。

用紙は塾生案内の巻末についています。主な記載事項は修得単位数の情報です。
単位数の計算は必要なときはいつでも大学事務に申し込むことができますので、手に入れた計算書類を基に記載すれば、それほど手間がかかるものではありません。

提出した用紙は審査が行われ、無事に登録が許可されると卒業論文作成に関する注意事項が書かれた書類などが一式送られてきます。

登録の資格


①テキスト配本計画の第Ⅲ年度配本に入る者であること。

②単位修得要件を満たしていること(「修得」とはテキストの場合はレポートと科目試験両方に合格していることを指しています。)

 ・総合教育科目 合計36単位以上 取得済であること
         ※3分野合計28単位以上など詳細指定事項あり
 
 ・必修外国語  6単位以上
         ※詳細指定事項あり
       
 ・専門教育科目…7単位以上

登録時期


具体的な締切日は大学から定期的に送られてくる冊子に書かれていました。だいたい下記の時期あたりです。

・3月上旬~8月上旬
・9月上旬~2月上旬


※【参考】最短で卒業する場合の手続き(※2005年4月入学者の場合)

・普通課程…2007年7月下旬頃まで(入学から約2年3ヶ月)
・特別課程…2006年7月下旬頃まで(入学から約1年3ヶ月)
・学士入学…2006年1月下旬頃まで(入学から約9ヶ月)



卒業論文指導 

大学から配布されている冊子には、卒業論文指導とは何かということについて、学生が「研究テーマをすでに自分のものとして把握している」ということを前提に「論文作成上のアドバイスを与える」という趣旨のことが記載されています。

私は論文作成が中盤に差し掛かる頃までこの意味がよく理解できていませんでした。

研究テーマは自分で提起したものの、テーマには「期待される解答」のようなものがどこかに存在していて、その解答に沿って仕上げられるように先生が導いてくださる…といった感じのレポートと同じ感覚で初期のころは取り組んでいたように思います。

論文はあくまでも学生が主体で進めるものです。問に対して期待される解答などどこにも存在せず、自分なりの答えをつくり出すのが論文です。このことは書籍で読んだりしてわかっていたつもりではいましたが、きちんと理解できるまでに時間がかかりました。

先生は、学生がやろうとしている内容について専門家の立場からアドバイスを行うといった形でサポートをしてくださる立場です。

基本的には学生が「これ研究します! 見ててくださいね!」という姿勢で取り組みます。

自分で考えて行動しガシガシと作成を進めます。

とはいえ、暴走したり脱線したり、あるいは迷宮に入ってしまったり、なんてことになると仕上がらないので、たまに先生に進捗確認がてらお話をさせていただいて、軌道修正等ご指導を賜るというのが「卒業論文指導」という機会であるといえるかもしれません。

指導時期と場所

・春期(5月)、秋期(10月)の年に2回、大学構内で行います。

申込み期間と方法

指導の申し込みは都度行う必要があります。申込みは「卒業論文指導調査票」に指定事項を書き込んで郵送することで行います。
この用紙は、指導日時の通知書類とともに郵送されてきているものを使います。
各時期の〆切など詳しいことは慶應通信から定期的に送付される冊子に記載があります。
なお、指導日時は指導日の1~2ヶ月前に通知書類が届きます。

・春期(5月)頃指導・・・ 1月中旬~2月中旬 申込み
・秋期(10月)頃指導・・・ 7月中旬~8月中旬 申込み

卒業論文指導調査票の記入について

書類の記入に際しては、下記の事項について指示があります。
(※特に考えて記載する必要のあるものだけピックアップしています。 実際の用紙には、他に連絡先や指導教授への質問事項など他にいくつか記入する項目があります。)

なお、初回申込みについては、①の小論文の内容は重要です。
準備不足と判断されると、再提出や予備指導が指示される場合があります。
また、この内容を基に学習指導室において検討が行われて指導教員が決定され、学生に通知文書が送付されます。


【初回指導】

①論文構想欄

そのテーマを選んだ理由、選択経緯とアプローチの仕方等について、800~1000字の小論文にまとめます。提出に使う用紙は2回目以降も同じです。私は初回については全文手書きで記載しました。

②卒業論文題目 

③入手済み、入手予定の参考文献や資料など

④読了した参考文献や資料など

⑤卒業論文と関連する履修済みの専門教育科目名



※【参考】最短で卒業する場合の初回指導時期(※2005年4月入学者の場合)

・普通課程…2007年10月中旬から(入学から約2年6ヶ月)
・特別課程…2006年10月中旬から(入学から約1年6ヶ月)
・学士入学…2006年5月から(入学から約1年1ヶ月)


【2回目以降】

①論文構想欄

前回指導からの進捗状況について記載します。論文作成上で解決に悩んでいる問題点や疑問点、それに対する自分なりの解決方法なども書き込みます。

私はこの部分はWordで打ったものを張り付けていました。


②~⑤ 初回と同様

③、④については、記載欄には書ききれなかったため、この欄には「別紙」と手書きで記記載してWordやExcelで一覧にしたものを添付しました。



※票の記入についてもう少し詳しく書いた記事はこちら
 →  卒業論文調査票の記入について


テーマの範囲について


自分が研究したいことなら何でもOKというわけではありません。
各学部ともに、学則で規定されています。

法学部については、すでに履修したものに関連ある題目であるなどの規定があります。
私の場合は、履修した科目そのものではなかったのですが、履修した科目に関連するものということで許可がおりたと思われます。




卒業予定申告

卒業するのには「この時期に卒業するつもりで勉強を進めております。手続き等よろしくおねがいします。」と事務方に申し出ておく必要があります。これが卒業予定申告です。

申告後、計画通りに事が進まなかった場合は「予定時期に卒業できそうにありません、すみません卒業延期します」といった内容の「卒業予定延期届」を指導教員に連絡の上で提出し、卒業延期の許可を得る必要があります。一回の提出で6ヶ月の延期が認められます。私は予定通り進まなかったので提出しました…。期限は3月卒業予定者が前年11月末、9月卒業予定者は6月末頃です。

申告資格

①指導教員より卒業予定申告書の提出許可を受けていること。
 卒論指導を受ける際に先生に直接申し出て、その場で許可の署名・捺印をいただきます。

②単位数などの要件を満たしていること。
 ・総合教育科目…48単位以上修得
 ・専門教育科目…35単位(必修10単位含む)以上修得
 ・卒業論文指導を受けていること
 ・卒業予定日までに在学所要年数を満たしていること
 ・卒業論文のテーマを確定していること
  

申告時期と方法

卒業予定申告書を事務へ提出することで行います。
卒業予定の約1年前という早い時期の申告となることには注意が必要です。
具体的な提出〆切日や提出方法は、定期的に送られてくる冊子上に記載されています。
提出された書類は審査が行われ、許可がおりると通知書とともに卒業に関する書類が送付されます。なお、審査は申告に必要な単位数確認を見る簡易的なもので、卒業所要単位数の最終的な確認は自分で行う必要があります。

【提出時期】
・3月卒業予定者…前年5月上旬から一カ月間
・9月卒業予定者…前年10月中旬から11月中旬の一カ月間


※【参考】最短で卒業する場合の卒業予定申告時期(※2005年4月入学者の場合)

・普通課程…2008年5月から(入学から約3年1ヶ月)
・特別課程…2007年5月から(入学から約2年1ヶ月)
・学士入学…2006年11月から(入学から約1年7ヶ月)


卒業申告後の学習について

卒業申告が認められると、あとは卒業目指してまっしぐら。
説明には論文提出に留意すべき事項がいくつか提示されています。

①申告許可を受けたあと卒業論文を提出するまでに、必ず指導教員の指導を受け、その際に「卒業論文提出許可証」に承認をもらう。
 つまり、卒論提出許可がおりた後に最低一度は卒論指導を受ける必要があるということです。

②科目試験とスクーリングの受講に制限あり
 
 【3月卒業予定者】
  
  科目試験…1月まで受験可能。単位は10月までで充足させる。
  スクーリング…夜間スクーリングまで出席は可能。
         単位は夏期スクーリングまでで充足させる。

 【9月卒業予定者】

  科目試験…7月まで受験可能。単位は4月までで充足させる。
  スクーリング…夏期スクーリングまで出席は可能。
         単位は夜間スクーリングまでで充足させる。
  




卒業論文提出

卒業論文を提出するとひと段落です。
私は宅配便で発送したのですが、発送直前まで何度も読み返し、誤記や細かな言い回しの修正等を行うなど持ち時間ギリギリいっぱいまで粘って書き上げました。
これで完成、とした瞬間の達成感は今でも鮮明に思い出します。
なお、論文の装丁は指導教員に指導を受けることになっています。大学指定のものは特にないようです。先生からは自由で良いとお話をいただきましたので、私はA4のコピー用紙に自宅の家庭用コピー機で片面印刷して、市販の挟むタイプの製本ファイルを使って綴じました。知り合いには大学の生協に製本を委託した方もいます。せっかくなので記念に私も製本依頼してみてもよかったかなと思ったりもします。

提出基準

【3月卒業予定者】
  
  ・前年の10月科目試験までに以下を修得。
  ・総合教育科目・・・卒業所要48単位以上
  ・専門教育科目…60単位以上※必須科目など詳細規定あり
  ・卒業予定年度までにスクーリングの卒業必要単位※入学時の選択課程により異なる
  

 【9月卒業予定者】
  ・4月科目試験までに以下を修得。
  ・総合教育科目・・・卒業所要48単位以上
  ・専門教育科目…60単位以上※必須科目など詳細規定あり
  ・卒業予定年度までにスクーリングの卒業必要単位※入学時の選択課程により異なる


提出期限と提出物

提出期間や手続き方法の詳細は、定期的に配布される冊子に掲載されますが、当時のだいたいの期限は以下の通り。

①提出期限

【3月卒業予定者】
 ・前年11月上旬から一カ月間

【9月卒業予定者】
 ・6月上旬から一カ月間


②提出物
 ・卒業論文…・ 1部
 ・卒業論文の要約 A4用紙に800字程度・・・ 3部
 ・その他…「卒業論文提出票」や「写真」など複数の提出物が指定されています。


      

※【参考】最短で卒業する場合の卒業論文提出時期(※2005年4月入学者の場合)

・普通課程…2008年11月(入学から約3年7ヶ月)
・特別課程…2007年11月(入学から約2年7ヶ月)
・学士入学…2007年6月(入学から約2年2ヶ月)


卒業試験

卒業論文を提出すると、いよいよ最後のステップである卒業論文審査と総合面接試問が行われます。


試験時期

試験日時の案内は、論文提出後に個々に通知されます。

【3月卒業予定者】
 ・1~2月 ※卒業決定通知は3月中旬頃

【9月卒業予定者】
 ・ 9月 ※卒業決定通知は10月中旬頃
    あれ?今冊子を確認しているのですが9月卒業なのに通知は10月なのですね…。


なお、卒業式は3,9月卒業生合同で3月下旬に行われます。


試験内容など


①試問内容
・卒業論文そのものに関すること
・当該学部卒業するに値する学力を有するかの確認

②試問方法
 ・まず、学生が卒業論文内容を説明。
 ・先生からの質問(指導教員だけではなく面接官は複数)

③卒業試験に不合格となった場合
 ・所定日時に再試験を受けることが可能。
  この再試験に合格できなかった場合は、更なる再試験は受験できず、在籍期限までは在籍可能ですが卒業することはできない旨が規定されています。



※【参考】最短で卒業する場合の卒業試験受験時期(※2005年4月入学者の場合)

・普通課程…2009年2月(入学から約3年11ヶ月)
・特別課程…2008年2月(入学から約2年11ヶ月)
・学士入学…2007年9月(入学から約2年5ヶ月)