■レポート作成のポイントと作成の流れ



さて、どのレポートに取り組むかを決めました。

課題を見ます。

…??

見たことも聞いたこともない用語、文の意味すらわかりません。
当然何を答えていいのか見当もつかない…。

こんな感じでレポートを書き始める時点ではその分野の知識はゼロということは結構ありました。

本来は、まずテキストで勉強してその科目全体を理解した上でレポートを書く、というのが期待されるやり方なのかもしれませんが、それでは時間がかかって一カ月半に複数のレポートを提出するのはハードルが高いものとなるかもしれません。

少しでも早く取得単位数を増やしたいなら、とにかくまずはレポートを書いて提出することで科目試験の受験資格を得る必要があります。提出さえしておけば、結果はどうでも次の科目試験の受験だけは可能になります。

私はだいたい1週間から10日程度でひとつレポートを書いていました。このペースが速いか遅いかはともかく、毎回期限までになんとか複数のレポートを提出していました。

レポート作成の要領がよくわからないという方に、どんな感じで書いていたのか、主に考え方のようなものを中心にご紹介してみたいと思います。



レポート作成のポイント

レポートを作成する際に頭の隅においておいたほうが良いことがあります。
それは、論文とレポートは求められていることが違うということです。

論文の場合、自分でゼロから「問い」をつくります。
そこから自分なりの調査を行い、自分の提起した問に対する最終的な自分の答え(見解/結論)を導き出します。

数学の理論等だと話は別なのかもしれませんが、社会問題や法律解釈といった見解が分かれている論点などをとりあげた場合は、そこには基本的に正解も期待される模範解答もありません。あるのは自分の見解だけです。 

要は、読み手に自分の見解が伝わる内容であれば何だって良いのです。先生は様々なアドバイスをくださいますが、基本的には自分が主体的に作成していくものです。 




一方、レポートは、先生が「問い」を学生に投げかけます。私たち学生は、先生の問いに対して答えを探し、それを書面にまとめたもの(レポート)で解答します。

先生が投げかけるこの「問い」には、解答として期待される正解の枠が存在しています。

つまり学生は、レポートを作成する際には、まず先生が期待する正解枠が何であるのかを読み解かなければなりません。



レポート作成にかかる時間

●平日…約12.5時間  ※主に文献読み込みと文章構成構成に利用
    
  (内訳 : 通勤時間中に約2時間+ランチタイム中に30分程度×5日/週) 
    
     

●休日…約12時間 ※主に文章構成の仕上げと提出用紙への書き込み
    
    (内訳 :   6時間程度×日/週
   

 ●合計…約25時間 / 週 


上記が平均的な作成スケジュールです。


もちろん、この通りに時間がとれることばかりではありませんでしたし、時間があってもなかなかレポートが書き上げられず、もっと時間がかかったこともあります。

なお、英語関係については、複数の文法問題等を解いて提出するといった感じで、一般にイメージするレポートととはちょっと異なるため、ここでのご紹介対象からは外します。


レポート作成の手順


以前にも少し触れたのですが、まずは課題から連想できるキーワードを考えます。テキストに該当するものがあれば、その部分に目を通します。

ここでは、検索用の電子端末が設置されている図書館か書店に来ていることを前提に、具体例を挙げながら話を進めたいと思います。


キーワードを基に参考文献を探す

どのキーワードで探していくかを選択するのには多少コツのようなものがあります。

それは、なるべく「その分野特有の用語ではないか」と思われるものから探すことです。

とはいえ、何も知識を持たない分野に関して、特有の用語はどれと言われてもわからないケースは多々あると思います。

どれがキーワードか見当がつかないようであれば、課題文の中にある単語のうち、まず何かひとつを検索をかけてみます。

結果として出てくる書籍等の分野が的外れである場合は、別の用語で試してみます。
結果が複数の分野にわたっている、あるいは膨大な数が出てきて全く絞り切れないといった状態の場合は、もし複数の用語を同時に検索可能なら、検索の用語を追加して絞り込みを行います。それができない場合は、別の用語で検索し直して書籍を探します。地道な作業ですが、何度かやっていると少しずつコツがつかめてくるかもしれません。

例えば、課題文中に「個体地球」「内部構造」「間接的方法」という文言があったとします。このうち「内部構造」と「間接的方法」という言葉は、今回の課題である地球に関する分野に限らず様々な場面で使われています。例えば「機械の内部構造」といった使い方をすれば工学系の分野の話になってしまいます。こういった幅広い使い方のできる用語で最初に検索をかけてしまうと、検索結果には様々な分野のものが含まれてしまい、目的のものにたどり着くのに時間がかかることが予想されます。

この例の場合、まずは大きなカテゴリーとして「地球」というキーワードで文献(書籍等)を探してみます。最初に「地球」という分野に限定することで、次に検索する用語はその分野内で使われるものだけが探せるようになり、目的の用語が記載された書籍を見つけ出しやすくなります。

次に、文献(書籍等)の題名から「個体地球」の「内部構造」について書かれていそうなものをあるだけ全部選びます。

選び出した文献(書籍等)から必要な内容が書かれているものを見つけ出します。具体的には、一冊ずつ目次や索引ページを見て「内部構造」「間接的方法」というキーワードが掲載されているものを探します。時間があれば、本文もチェックして、ひと言ぐらいしか触れられていない書籍は外します。
この作業後に手元に残った文献(書籍等)は、図書館本であればすべて借ります。書店の本の場合は…お財布と相談…でしょうか。

私は総合分野の科目についてはたいてい地元図書館で借りるようにしていましたが、平日は開館時間中に行くことができなかったため、本の選定については通勤路上にある書店を利用することもありました。

書店で選んだ書籍を後日図書館で予約して休日に引き取りに行くという感じです。書店さんには立ち読みばかりで申し訳なく…。

専門分野や卒論に関するものについては、その当時の勤務場所から歩いて数分のところにあった地方大学の図書館が使えたため、お昼休みや帰宅前に図書館に寄って借りていました。地元図書館では手に入らないものばかりだったのでとても助かりましたが、最初は借りて済ませようとしたものの、読んでいるうちに手元に置いて使いたくなり同じものを購入したという書籍も結構な冊数となりました。



少し話が脱線しますが、私の選択した法律分野の場合は、専門科目に入るとちょっとした裏技的なものが使えました。

課題内容によっては法律系(特に司法試験用)の資格試験用参考書に載っている解答例がとても参考になったのです(※どんなに役立ってもこれらの参考書名をレポートの参考文献に挙げることは好ましくないと思われますのでご注意ください)。

専門分野の勉強時には、資格試験の参考書は本当にありがたい存在で、レポート作成時にも大活躍でした。特に事例問題の場合は、キーワードから専門書を探すより、まずは参考書から似た問題を探すことからはじめました。

資格試験の参考書類は、初心者にもわかりやすく解説が書かれているので理解もしやすく、これらを読んだ後にレポート構成をするとかなり楽でした。


文章構成をする


● 各書籍のキーワード該当箇所を読みます。 
 
同じキーワードについて、複数の書籍に目を通していると、なんとなくそのキーワードが何を意味しているか見当がついてきます。


● 課題文を改めて読み、文章構成を考えます。
 
課題文には、何を書いて欲しいのか指示が書かれています。この指示通りに文章を構成します。

例えば、「~を示し、その問題点をあげなさい」といった課題文であれば、「~」について説明文を書き、その後「~」についての問題点を挙げる、といった文章の流れにしました。

「論じよ」という課題であれば、自分なりの問を提起し、それについて調べ、調べた内容について自分の意見を書く、といった流れにしていました。

構成時には、まずはワープロを使って思いつくままどんどん書いていき、後から全体を整えていました。


● 最後に自分の考察を入れます。
 
「…について××ではないかと考える。」などといった感じの文章でよく書いていました。


● 参考文献について
 
読んだものの中から実際に参考になったものをピックアップして記載します。3~4冊程度でも大丈夫です。



提出用紙に記載する


● 指定の用紙に印刷します。手書きの場合は指定用紙に手書きします。
 
今(2018年現在)はどうなのかわかりませんが、在学当時は「ワープロ不可、手書きのみ」と指定がある科目も存在しました。

この場合は、下書きとして文章自体はワープロで作成し、その後に提出用の用紙にボールペン等で文章を書き写していくというスタイルで作成していました。

これは書き直し無しで一発で書き上げたとしても、入力のみでの作成に比べればかなり時間がかかります。私の場合はたいてい一発では書き上げられませんでした。

よくあったのが、そのページの最後の方まで書き進めてきたところでうっかり書き間違ってそのページ一枚を最初から全部書き直し。なぜか「このページはあと少し」というところで書き間違うことが多かった気がします。気が緩んでしまうのでしょうか。

その他の例としては、全部を書き終えてチェックのために読み返してみたら、途中に文字抜けや書き間違いを発見!
これは本当にガックリきます。やっと終わったと思ったのに…(泣)
少しの修正でどうにかごまかせそうなレベルならまぁいいとして、ちょっと手を加えたぐらいでは済みそうにないレベルの間違いだった場合はどうやって対処しようかと悩みます。例えば、下書きで書いた文章一行分全部ごっそり書き写しし抜けてたとか。
結局、間違いのあった部分以降の全文を書きなおした、なんてこともありました。

そんなこんなで手書き指示の課題の場合は、ワープロOKに比べて作成に時間がかかる傾向がありました。



● 書き出来上がったら、左上に課題を張り付けて完成です。



参考文献について


レポート作成時の参考文献については、それほど専門性の高いものでなくても大丈夫です。また、冊数もそれほど多くなくて問題ありません。

例えば、あるレポートに記載した参考文献は以下の通り。専門家向けに書かれているものではなく一般向けの書籍が入っています。

 〇松本禎士監修「地球化学」講談社サイエンティフィク 1989年
 〇竹内均 他「ニュートン別冊 地球のしくみと進化の歴史」ニュートンプレス2004年
 〇吉川弘之 他「東京大学公開講座地球」東京大学出版会 1994年

これ3冊でも評価【A】をいただいています。


戻ってきたレポートの評価がD(要再提出)だった場合


やっと作成して提出したレポートが残念ながらD評価で戻ってきた場合・・・「D」という文字を目にした瞬間は本当にガックリきます。コレ、何をどう書き直したらよいのでしょうか。

書き直し方のヒントは、評価欄の先生からのコメントにあることが多いのでぜひ熟読してください。ここには、正解枠へ入れるためにはどうしたら良いのかについて先生からヒントやアドバイスが記載されています。

再提出時には、これらの貴重な示唆を基にレポートを再構成していけば、合格レポートへの道が開けます。


まとめ

レポート作成には時間もかかりますが、やり方次第では書籍費用もかなりかかります。
私は、一般科目のレポートについては、参考文献はほとんど図書館で借りて済ませました。

こんなやり方でレポートを仕上げておりましたが、肝心の科目の理解度はどうだったのかというと、正直なところ、レポート完成時にはその科目のことはほとんど理解していないことが多かったと思います。

ある程度理解するのはたいてい科目試験の勉強時でしたが、せっかく詰め込んで覚えたそれらの知識も試験が終わったら自分でも驚くほどキレイに忘れております。

学を身につけに来てるはずでは?と思うと、何か勉強の仕方が間違っているような気もしなくもないのですが、なんとか卒業にはたどり着くことはできました。