固体地球の内部構造に関する課題です。
地学は4つの課題が提示されていました。この場合は、それぞれレポートを提出し、すべてが合格することでレポート課題のクリアとなります。
どんな科目?(本科目について簡単にご紹介)
地質学、地球化学、地球物理学、岩石学、鉱物学、海洋学、気象学などを含んでいます。
課題情報(課題の概略や成績など)
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科目 |
地学 (課題1) |
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課題概略 |
固体地球の内部構造に関するもの。 |
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課題タイプ |
課題内容について示し、問題点をあげる。 |
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提出形式 |
手書き(ワープロ不可) |
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評価 |
A |
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レポート構成 |
1 課題定義 2 流れ提示 3 説明1(電磁波法) 4 説明2(電気伝導度) 5 説明3 (高温高圧実験) 6 説明4 (隕石の研究) 7 説明1-4から導き出されること 8 問題点の指摘 9 まとめ 10参考文献 |
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文字数制限 |
2000字 |
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本文文字数 |
1817字 |
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備考 |
・課題内容については、比較的情報が手に入りやすいものでしたので、手に入った情報をどう組み立てるかを考えることが中心となった課題でした。 |
分析(文章をまとまり毎に表形式で整理)
・全文を掲載しています。
・表形式にし、内容のまとまりごとに分けています。
・読みやすさを重視し、原則として、一文毎に改行しています。提出用紙への記載時には、内容のまとまりごとに適宜改行をいれています。
1
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課題定義
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固体地球の内部構造を知るための間接的方法の代表的な方法としては、地震波の測定、電気伝導度の測定、高温高圧実験、隕石の研究が代表的である。
中でも地震波の測定による方法の信頼度が高く地球内部構造の解析に広く用いられている。
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流れ提示
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以下、それぞれの方法について述べたあと、問題点について述べたい。 |
3
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説明1
(電磁波法)
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地震波法とは、世界各地で起こる地震が生み出す地震波について地震計を用いて観測し、そのデータを解析することによって地球内部の構造を知る方法である。
地震波は地球深部まで伝わる実体波と深部では急に減衰してしまう表面波との二つに大きく分けられる。
実体波は更に縦波のP波と横波のS波とに分けられる。特徴としてはP波のほうの速度が速く、S波は液体中を伝わらないという性質が挙げられる。
こうした地震波の特徴を利用した測定により、地球の内部構造が地球表面から特定の距離ごとにいくつかの層に分かれていること、地球の深部に液体状の物質が存在していることなどがわかる。
近年では、地球振動や長周期表面波といった地震振動以外の観測からも地球内部構造のより正確な測定が進められている。
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4
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説明2(電気伝導度)
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電気伝導度の測定からは、地球内部の電気伝導度分布がわかる。
これは様々な周期の地磁気変化を解析することによって求められる。
この測定からはマントル遷移層の始まる部分である深さ400~500kmで電気伝導度が急激に増加することがわかっている。
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5
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説明3 (高温高圧実験)
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高温高圧実験とは、地球内部が高温高圧であることを利用した測定方法である。
高温高圧下では地表近くの温度と圧力条件下で安定していた鉱物がその条件に合わせて変化する。
どのような温度・圧力条件下で鉱物がどんな状態で安定するのかがこの実験でわかる。
条件によって鉱物が別の性質を持つ鉱物へと鉱物相が変化することもあり、この現象を相転移とよんでいる。
鉱物相の違いが地震波速度差を生じるため、相転移からは地震波速度の急激な変化を説明できる。この実験からは地球内部の岩石の鉱物構成がわかる。
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6
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説明4 (隕石の研究)
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隕石は宇宙から落下してきた惑星物質の破片である。
隕石が地球の組成と似通っているところから、地球の生成には隕石が関係していると考えられている。
隕石の密度や弾性波の速度の測定などを地球物質と比較するといった方法で研究することにより地球の組成の推定を行うことができる。
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説明1-4から導き出されること
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これらの測定により地球内部の構造が何層にも分かれており、表面に近いところから地殻と呼ばれるマグマの固まった層、次がカンラン石や輝石でできた上部マントル、結晶構造の変化した遷移層を挟んで、密度の大きい酸化物などでできた下部マントル、その下が液体鉄を主とする外殻、中心部が固体鉄でできた内核という構造である。
各層を合わせると全体で約6400㎞にも及び、中でも下部マントルと核の割合が大きいがわかっている。
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問題点の指摘
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しかし、さまざまなことがわかってきた一方で問題点も出てきている。
間接的方法によって、地表近くの地殻についてはある程度推定値が研究者間で一致している。ところが地球の大部分をしめているはずのマントルやコア(核)についての組成推定値は研究者によって異なっているために地球の平均組成が特定しきれていないのである。
これは地表や地表近くの物質のように直接的方法で測定することができず、現在のところ間接的に測定してその結果から推定するしかないが故の問題であるといえる。
この解決に関しては、技術進歩により間接的方法自体の測定精度を上げるか、直接的方法で測定できるような技術を開発して測定方法自体を変えるといったことが考えられる。
また、研究が進んだために新たな疑問が生まれてきている。例えばマントル物質について、以前は地殻の組織に比べれば比較的均一であると考えられてきた。
しかし、近年マントル物質の同位体の研究により同位体の組織データにばらつきがあり、これがマントル物質は同位体的には不均一であるということを示すことがわかってきた。
なぜこういった状態であるのかということについての原因解明はいまだされておらずいくつかの原因の推定論がある段階である。
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まとめ
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このように技術進歩によりこれまでわからなかったことが解明される一方で生まれる更なる疑問については、技術進歩上つきることのないものであるともいえるのではないだろうか。
解決に関してはひとつひとつ深く研究を掘り下げていく一方で、同じ分野に限らず様々な方向から疑問解決の方法を探ることも必要なのではないかと考えている。
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参考文献
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(参考文献)
・松本禎士/監修「地球化学」講談社サイエンティフィク1989年
・竹内均 他「ニュートン別冊 地球のしくみと進化の歴史」ニュートンプレス
2004年
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文章のみ(レポートをそのまま文章のみ掲載。ざっと読みたいという方に)
固体地球の内部構造を知るための間接的方法の代表的な方法としては、地震波の測定、電気伝導度の測定、高温高圧実験、隕石の研究が代表的である。中でも地震波の測定による方法の信頼度が高く地球内部構造の解析に広く用いられている。
以下、それぞれの方法について述べたあと、問題点について述べたい。
地震波法とは、世界各地で起こる地震が生み出す地震波について地震計を用いて観測し、そのデータを解析することによって地球内部の構造を知る方法である。地震波は地球深部まで伝わる実体波と深部では急に減衰してしまう表面波との二つに大きく分けられる。実体波は更に縦波のP波と横波のS波とに分けられる。特徴としてはP波のほうの速度が速く、S波は液体中を伝わらないという性質が挙げられる。こうした地震波の特徴を利用した測定により、地球の内部構造が地球表面から特定の距離ごとにいくつかの層に分かれていること、地球の深部に液体状の物質が存在していることなどがわかる。近年では、地球振動や長周期表面波といった地震振動以外の観測からも地球内部構造のより正確な測定が進められている。
電気伝導度の測定からは、地球内部の電気伝導度分布がわかる。これは様々な周期の地磁気変化を解析することによって求められる。この測定からはマントル遷移層の始まる部分である深さ400~500kmで電気伝導度が急激に増加することがわかっている。
高温高圧実験とは、地球内部が高温高圧であることを利用した測定方法である。高温高圧下では地表近くの温度と圧力条件下で安定していた鉱物がその条件に合わせて変化する。どのような温度・圧力条件下で鉱物がどんな状態で安定するのかがこの実験でわかる。条件によって鉱物が別の性質を持つ鉱物へと鉱物相が変化することもあり、この現象を相転移とよんでいる。鉱物相の違いが地震波速度差を生じるため、相転移からは地震波速度の急激な変化を説明できる。この実験からは地球内部の岩石の鉱物構成がわかる。
隕石は宇宙から落下してきた惑星物質の破片である。隕石が地球の組成と似通っているところから、地球の生成には隕石が関係していると考えられている。隕石の密度や弾性波の速度の測定などを地球物質と比較するといった方法で研究することにより地球の組成の推定を行うことができる。これらの測定により地球内部の構造が何層にも分かれており、表面に近いところから地殻と呼ばれるマグマの固まった層、次がカンラン石や輝石でできた上部マントル、結晶構造の変化した遷移層を挟んで、密度の大きい酸化物などでできた下部マントル、その下が液体鉄を主とする外殻、中心部が固体鉄でできた内核という構造である。各層を合わせると全体で約6400㎞にも及び、中でも下部マントルと核の割合が大きいがわかっている。
しかし、さまざまなことがわかってきた一方で問題点も出てきている。間接的方法によって、地表近くの地殻についてはある程度推定値が研究者間で一致している。ところが地球の大部分をしめているはずのマントルやコア(核)についての組成推定値は研究者によって異なっているために地球の平均組成が特定しきれていないのである。これは地表や地表近くの物質のように直接的方法で測定することができず、現在のところ間接的に測定してその結果から推定するしかないが故の問題であるといえる。この解決に関しては、技術進歩により間接的方法自体の測定精度を上げるか、直接的方法で測定できるような技術を開発して測定方法自体を変えるといったことが考えられる。
また、研究が進んだために新たな疑問が生まれてきている。例えばマントル物質について、以前は地殻の組織に比べれば比較的均一であると考えられてきた。しかし、近年マントル物質の同位体の研究により同位体の組織データにばらつきがあり、これがマントル物質は同位体的には不均一であるということを示すことがわかってきた。なぜこういった状態であるのかということについての原因解明はいまだされておらずいくつかの原因の推定論がある段階である。
また、研究が進んだために新たな疑問が生まれてきている。例えばマントル物質について、以前は地殻の組織に比べれば比較的均一であると考えられてきた。しかし、近年マントル物質の同位体の研究により同位体の組織データにばらつきがあり、これがマントル物質は同位体的には不均一であるということを示すことがわかってきた。なぜこういった状態であるのかということについての原因解明はいまだされておらずいくつかの原因の推定論がある段階である。
このように技術進歩によりこれまでわからなかったことが解明される一方で生まれる更なる疑問については、技術進歩上つきることのないものであるともいえるのではないだろうか。解決に関してはひとつひとつ深く研究を掘り下げていく一方で、同じ分野に限らず様々な方向から疑問解決の方法を探ることも必要なのではないかと考えている。
(参考文献)
・松本禎士/監修「地球化学」講談社サイエンティフィク1989年
・竹内均 他「ニュートン別冊 地球のしくみと進化の歴史」ニュートンプレス2004年